
――利回りだけでは見えない、失敗する物件の本質――
投資用不動産を検討される方の多くが、最初に目を向けるのは「利回り」です。
確かに、利回りは重要な指標の一つです。しかし、利回りが高い=良い投資とは限りません。
むしろ実務の現場では、「表面利回りは高いが、結果的に損失を生む物件」を数多く見てきました。
本稿では、2025年時点の市場環境と不動産実務に基づき、
“買ってはいけない投資用不動産”に共通する特徴を、感情論や煽りではなく、冷静に整理します。
1.表面利回りだけで評価されている物件
最も典型的な失敗パターンが、「利回りだけで判断された物件」です。
表面利回りは、
年間賃料 ÷ 購入価格
という非常に単純な計算で算出されます。
ここには、以下の要素が含まれていません。
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空室期間
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修繕費・原状回復費
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管理費・修繕積立金
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将来の賃料下落
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売却時の価格(出口)
特に築年数が経過した物件では、
購入後に修繕費が急増し、実質利回りが大きく下がるケースが少なくありません。
高利回りを強調する物件ほど、
「なぜこの利回りが実現しているのか」
を一段深く確認する必要があります。
2.管理体制が弱い、または見えない物件
投資用不動産において、管理は収益の土台です。
しかし実際には、
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管理会社の対応が遅い
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修繕履歴が整理されていない
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入居者対応が属人的
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管理費の使途が不透明
といった物件も多く存在します。
管理体制が弱い物件では、
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入居者満足度が下がる
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退去が増える
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クレーム対応コストが上がる
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結果として賃料が下がる
という悪循環が起こります。
購入前に管理の中身が説明できない物件は、基本的に避けるべきです。
3.立地は良さそうだが「需給」が合っていない物件
「駅から近い」「都心だから安心」
この言葉だけで判断されている物件にも注意が必要です。
重要なのは、
その立地に、どのような入居者需要が、どれくらい存在するか
という点です。
例えば、
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単身需要が強いエリアにファミリー向け物件
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供給が急増しているエリアでの新規購入
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周辺に競合物件が多すぎる
こうしたケースでは、立地が良くても空室リスクは高まります。
立地評価は「住所」ではなく、
入居者属性・供給量・将来動向まで含めて判断する必要があります。
4.出口(売却)が想定されていない物件
投資用不動産は、「買って終わり」ではありません。
必ず売却=出口が存在します。
ところが実務では、
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誰に売るのか
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いくらで売れるのか
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何年後を想定しているのか
が整理されていないまま購入されているケースが非常に多いのが実情です。
出口が見えない物件は、
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市場が悪化した際に身動きが取れない
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想定より大幅に安く売却せざるを得ない
というリスクを抱えます。
購入前に出口を説明できない物件は、投資対象として不十分です。
5.「誰が責任を持つのか」が曖昧な物件
最後に見落とされがちなのが、
責任の所在です。
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売主は売ったら終わり
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仲介会社は契約成立がゴール
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管理会社は最低限の業務のみ
このような構造の中では、
問題が起きた際に「誰も本気で向き合わない」状況が生まれます。
投資用不動産では、
購入後も相談できる相手がいるかどうか
が、結果を大きく左右します。
6.失敗する物件に共通する本質
ここまで整理すると、“買ってはいけない投資用不動産”には、共通点があります。
それは、
「数字の一部だけが切り取られ、全体像が説明されていない」
という点です。
利回り・立地・価格といった断片的な情報ではなく、
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管理
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需給
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出口
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運用の現実
を含めた全体像を理解して初めて、投資判断は成立します。
7.投資判断で最も重要な視点
投資用不動産で最も重要なのは、
「買うこと」ではなく、
**「判断を誤らないこと」**です。
短期的な数字や派手な説明よりも、
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なぜこの条件なのか
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どんなリスクがあるのか
-
想定外が起きたときどうなるのか
を冷静に確認する姿勢が、結果を守ります。
まとめ
投資用不動産には、
「買ってはいけない理由」が必ず存在します。
それは、物件そのものというより、
説明不足・管理不足・判断不足に起因するケースがほとんどです。
不動産投資は、慎重であるほど、結果は安定します。
数字だけでなく、その裏側まで丁寧に確認することが、失敗を避ける唯一の方法です。