東京を中心に、全国の大都市で進む「再開発」。中でも新宿、品川、池袋など、いわゆる“メガターミナル駅”周辺では超高層ビルの建設や街全体のリニューアルが加速しており、不動産市場でも注目度は年々高まっています。「再開発エリア=将来値上がりするエリア」という見方が一般化しつつある今、本当に“買い”なのか?その実情と落とし穴を見ていきましょう。
再開発がもたらす3つのメリット
メガターミナル駅周辺の再開発には、明確なメリットがあります。
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交通・生活利便性の大幅な向上
地下鉄やJRの乗換導線が整理され、駅直結の商業施設やバリアフリー動線も整備。これにより、生活のしやすさが格段に向上します。 -
街全体のブランド価値の上昇
再開発により、周辺のオフィス誘致や高級ホテルの進出が進み、エリア全体の“格”が上がります。ブランド価値の上昇は、将来的な資産価値にも好影響をもたらします。 -
人口流入による需要の安定
企業、商業、住居が集約された街は昼夜問わず人が集まり、賃貸・売買の流動性も高く保たれる傾向にあります。
盲点①:すでに価格に「織り込まれている」ことも
ただし、再開発エリアで注意したいのは、「再開発前に買ってこそ旨味がある」という点です。計画が公開された段階で、地価やマンション価格にはすでに将来の期待が“先回りして”織り込まれていることが多く、完成後に跳ね上がる余地は限定的です。
特に新築マンションでは、坪単価600万円〜700万円を超える例も出ており、「価格の天井感」が懸念される場面も。
盲点②:居住性とのギャップ
再開発=快適な住環境、とは限りません。
ターミナル駅周辺は昼夜問わず人通りが多く、観光・ビジネス客による騒音、混雑、セキュリティ上の課題も少なくありません。再開発が進むほど、地域性が“均質化”し、個性や住民コミュニティの希薄化を招くこともあります。
盲点③:商業・業務中心の「居住後回し型」開発も
都市開発の多くは、オフィスビル・商業施設を優先して進行します。居住用マンションは後回し、あるいは極めて高価格帯に限定されるケースも多く、「買いたいけれど買えない」という状況に直面する可能性もあります。
今後注目すべき再開発エリアとは?
再開発エリアで“買い”を狙うなら、以下のような場所が鍵になります。
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これから本格着工する「未成熟エリア」
例:高輪ゲートウェイ周辺、品川駅西口、池袋西口地区など。 -
大規模再開発の“周辺エリア”
直近の再開発エリア外縁部(徒歩10〜15分圏)では、まだ手が届く価格で購入でき、かつ将来的な便乗値上がりが期待できます。 -
郊外型×再開発の“ハイブリッドエリア”
例:武蔵小杉(二子玉川との中間ポジション)、三鷹、柏の葉など。
結論:再開発は「知っているだけ」では利益にならない
再開発エリアに対する過剰な期待は禁物です。価格が高騰した後に買えば、資産性や収益性は見込めず、「ただ便利なだけの高い家」を掴まされるリスクも。
重要なのは、**「いつ・どこで・なぜ開発されるのか」**を精査し、自分の目的(住む・貸す・売る)に即した戦略を立てることです。
都市は常に変わります。変化の波を先読みできる人こそが、不動産の世界でリターンを得られるのです。