東京都心の新築分譲マンション市場は、今や**「坪単価300万円超」が当たり前という時代に突入しました。人気エリアでは400万円台も珍しくなく、港区・渋谷区・千代田区などでは一部で坪500万円超え**の物件も登場しています。
ここで浮かぶ素朴な疑問――「そんな価格でも本当に“買う価値”があるのか?」という問い。本稿では、新築マンション価格高騰の背景と、それでもなお買うべき人・やめるべき人の違いを整理します。
■ 1. なぜここまで高騰しているのか?
◎(1)建築コストの上昇
資材費・人件費の高騰は長らく続いており、コロナ禍以降も物流費の上昇やウクライナ情勢の影響でさらなる負担増に。特にRC造のマンションでは、鉄筋やコンクリート単価の上昇が直撃しています。
◎(2)土地取得競争の激化
デベロッパー間での用地取得競争が過熱。人気エリアでは1坪1,000万円近い土地もあり、必然的に販売価格にも跳ね返ります。
◎(3)富裕層・海外マネーの流入
国内外の富裕層による“資産保全目的”の購入が活発に。現物資産として都心不動産が注目され、「価格が上がっても売れる」というサイクルが生まれています。
■ 2. 新築マンションの“購入価値”はどこにあるか?
◎(1)資産性
立地が良く、駅近・ブランド力の高い物件であれば、将来的な売却・賃貸の出口戦略が立てやすい。中古市場での再評価も期待できます。
◎(2)設備の最新性と維持コストの安さ
断熱性・遮音性・共用施設・セキュリティなど、最新の住環境が整備されている点は、新築ならではの利点です。修繕積立金も築浅ほど安く、初期10年は安心して住める物件も多いです。
◎(3)心理的満足度(所有欲)
新築ならではの「新品を買う喜び」「内装や間取りが最新トレンドに沿っている快適さ」も購入動機になります。“人生で一度の買い物”としての満足度は高いでしょう。
■ 3. 「買ってよい人」と「やめた方がよい人」の分岐点
判断基準 | 買ってよい人 | やめた方がよい人 |
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資金計画 | 頭金を多く用意でき、月々無理なく返済できる | フルローンで、家計に占める返済比率が高すぎる |
購入目的 | 資産性や長期居住を見据えた堅実な判断 | 「とにかく新築」「今買わないと損」という焦り |
ライフプラン | 転勤・転居リスクが少なく10年以上住める予定 | 数年以内に家族構成の変化がありそう |
地域・立地 | 人気エリアで駅近・再開発あり・需給バランス良好 | 駅遠・郊外・供給過剰エリアで価格だけで選んだ |
■ 4. 「買わない」という選択肢も合理的に
高騰した新築マンションをあえて買わない理由も整理しておきましょう。
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中古マンションの方が同立地・同広さでも2~3割安い
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築浅のリノベ済物件であれば、設備も十分・価格も抑えられる
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今後、金利上昇や人口減少による価格調整リスクを警戒
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賃貸でフレキシブルに暮らし、将来の好条件で購入を狙う戦略
つまり、「今買うべきか」ではなく、**“今の自分にとって適切か”**を冷静に見極めることが重要なのです。
■ まとめ:300万円/坪でも“買う価値”がある人とは?
価格がいくら高くても、「立地・生活・資産」のバランスが取れており、将来設計に無理がなければ買う意味はあります。しかし、「価格が高い=資産価値が高い」わけではありません。立地によっては“高値掴み”にもなりうるのがこの時代の怖さです。
買うならば、焦らず・背伸びせず・冷静に。
高騰期こそ、「どの物件を選ぶか」以上に「買うべきタイミングと理由」をしっかり持つことが、住宅購入で後悔しない最大のポイントです。