― 2025年の民泊ビジネス、再ブームの行方は?
新型コロナウイルスによる長い冬を越え、2023年以降、日本へのインバウンド(訪日外国人観光客)需要はV字回復を見せています。
そして、再び脚光を浴びているのが「民泊ビジネス」。
一時は“規制強化”のイメージが先行していましたが、現在ではインフレ・円安の追い風を受けた宿泊需要の受け皿として、再注目される存在となっています。
ただし、復活の裏側には新たなルールとリスクも。
今回は、最新の民泊市場の動向と、運営者が知っておくべきポイントを解説します。
■ なぜ今、再び「民泊」なのか?
✅【1】訪日外国人の急増
2024年、訪日外国人数はコロナ前の水準を回復し、過去最高を更新する勢い。特にアジア圏・欧米からの長期滞在者が増加しています。
✅【2】ホテル不足と価格高騰
大都市のビジネスホテルや観光ホテルは、予約困難&価格上昇。その代替として民泊の需要が再び高まっています。
✅【3】円安で“日本がお得”に
長期滞在型観光・ワーケーションが増え、1週間~1ヶ月滞在のニーズにフィットするのが、家具付きの民泊物件。
■ 民泊にはどんな形態があるのか?
民泊には大きく分けて以下の3つの形態があります:
区分 | 特徴 | 必要な手続き |
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住宅宿泊事業(民泊新法) | 年180日まで営業可。自宅の一部貸し等。 | 住宅宿泊事業の届出 |
特区民泊(国家戦略特区) | 特区内に限り、年間営業日数制限なし | 特区条例に基づく認可(例:大阪市、東京都大田区など) |
簡易宿所(旅館業法) | ホテルと同様の業種、制限なし | 旅館業法に基づく許可が必要(消防・建築要件あり) |
■ 法改正&行政動向に注目 ― 2024年以降の“新たな規制”
✅【1】住宅宿泊事業の実態調査強化
→ 営業実態の乏しい“幽霊民泊”への取り締まり強化
→ 定期報告や標識掲示、緊急連絡体制の不備で業務停止の事例も増加。
✅【2】地域ごとの条例厳格化
→ 「日数制限(週末のみ営業可)」「近隣住民の同意義務」など、自治体ごとのルールが多様化。
→ 東京23区でも区ごとにルールが異なり、事前の確認は必須。
✅【3】簡易宿所化への誘導
→ 行政の本音は「旅館業法で管理された施設へ一本化」
→ 民泊新法での運営が難しい地域では、「簡易宿所許可の取得」が実質的に求められるケースも。
■ 民泊運営で「儲かる人/失敗する人」
▶ 儲かる人の特徴
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外国人の需要が高いエリア(京都・浅草・大阪ミナミなど)を押さえている
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短期ではなく「中長期滞在型」の物件設計
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清掃・レビュー・価格調整の運営管理が徹底されている
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インバウンドと相性のよい多言語対応・SNS連携あり
▶ 失敗しやすい例
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観光地から離れた立地で空室が埋まらない
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規制を誤認して「無許可営業」→ 行政処分リスク
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清掃業者や管理会社が見つからず、運営品質が低下
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「民泊=儲かる」と過信し、融資を組んで複数物件取得 → 赤字化
■ 今後の“注目エリア”と“狙い目物件”
📍【注目エリア】
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大阪・関西万博(2025年)周辺エリア
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京都市内(特区民泊+再開発エリア)
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東京・浅草~上野~押上のスカイツリーライン沿線
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北海道・ニセコ/沖縄・恩納村などのリゾート地
🏠【狙い目物件タイプ】
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駅近の1LDK~2LDK(長期滞在向け)
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法人向け・ワーケーション対応型
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特区民泊対応済み物件
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リノベ済みの古民家スタイル(外国人好み)
■ まとめ:民泊市場は「再成長」フェーズへ。ただし“規制との共存”がカギ
民泊は「もう終わった」と言われた時期もありましたが、インバウンドの復活とともに新たなフェーズに突入しました。
今後は「単なる宿泊提供」ではなく、高付加価値な滞在体験+地域貢献」が問われる時代。
成功のポイントは、規制を正しく理解し、戦略的に運営すること。
制度・条例・地域ニーズを読み解きながら、再成長市場の波を的確に捉えていくことが求められます。