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Z世代の住宅観 ― もはや“所有”はステータスではない?

バブル期の「マイホーム神話」も、ミレニアル世代の「賢く借りる」志向も、今や過去の話。
現在20代を中心とする**Z世代(1990年代後半~2010年頃生まれ)**は、従来の住宅観とは一線を画した価値観を持ち、「所有」よりも「自由」や「柔軟性」を重視する傾向を強めています。

このコラムでは、Z世代の住宅観の本質と、それが不動産業界にもたらす影響を探ります。

■ 価値観の転換:「モノからコトへ」「所有から体験へ」

Z世代は、生まれたときからスマートフォンやSNSに親しみ、「情報」や「つながり」を通じて価値を創出してきた世代です。

彼らが重視するのは、次のような視点です:

  • 「一生同じ場所に住み続ける」という発想がない

  • 家は“夢”ではなく、“必要なときに必要なだけ”のもの

  • 「住宅ローン=人生の重荷」と感じている

  • 所有するより、サブスクで身軽に生きたい

たとえば、「一戸建てを買って子育てをする」という昭和・平成的な人生設計は、Z世代にとって**「選択肢の一つ」にすぎない**のです。

■ データで見るZ世代の住宅志向

  • リクルート住まいカンパニーの調査(2023年)によれば、Z世代の住宅購入希望者は**約35%**にとどまり、他世代に比べて圧倒的に「賃貸派」が多い。

  • また、購入希望者の中でも「将来的に投資用として考える」と答えた層が多く、実需より資産性重視の傾向も。

このことから、Z世代は「マイホーム=夢」という感覚よりも、「お金や人生設計のひとつの選択肢」として冷静にとらえているといえます。

■ なぜ“所有”は魅力を失ったのか?

① 終身雇用崩壊と転職前提のキャリア観

Z世代は、同じ企業に長く勤めることを前提としないため、「どこに住むか」は柔軟に変えたいもの。地方移住や二拠点生活も視野に入れており、持ち家が足かせになると考える層が増えています。

② SNSがつくる“流動的ライフスタイル”

InstagramやYouTubeなどを通じて、さまざまなライフスタイルを知っているZ世代は、固定化された暮らしより、「変化できる暮らし」に憧れを抱きます。

③ 住宅ローンへの不信感

「35年ローン」という響きに対し、不安や不信感を持つZ世代も少なくありません。低金利の恩恵を感じるよりも、「人生の選択肢が縛られる」と感じる傾向が見られます。

■ 不動産業界はどう対応すべきか?

Z世代の住宅観に対応するには、次のような変化が求められます。

◎ 「所有一択」ではなく、「選択肢」を提示する

  • 賃貸、リースバック、サブスクリプション住宅など、ライフステージに応じた多様な提案が必要です。

◎ デザインや共感性を重視した物件開発

  • 「おしゃれ」「シンプル」「SNS映え」など、感性に訴える設計や内装も購買・入居の大きな動機に。

◎ 住宅=投資対象としての説明力

  • 将来的に売却や賃貸活用できることを前提に、**「資産としての住まい」**を訴求する必要があります。

■ これからの「家」のカタチはどうなるのか?

今後、住宅市場では次のようなキーワードが重要になると考えられます。

  • モビリティ(移動性):転職や副業に対応できる柔軟な住まい

  • コミュニティ:住民間のつながりが設計された“仕組みある暮らし”

  • 短期契約の進化:ホテルと住宅の中間のような“ミドルステイ”

  • 所有=投資:将来的に売却・収益化できる前提で買う

■ まとめ:Z世代は“住まい”に何を求めているのか?

Z世代にとって、家は「夢」ではなく「ツール」であり、「所有」よりも「自由」でありたいというのが本音です。これは単なる若者気質ではなく、時代の変化に適応した合理的な選択とも言えるでしょう。

不動産業界は「売る」だけではなく「どう住まわせ、どう関係を継続するか」に重点を置く必要があります。

Z世代の本質を理解しなければ、これからの不動産市場は語れない。
それが、令和の住宅ビジネスに突きつけられた現実です。