COLUMN2025.09.25

“管理難民”増加中!高齢大家の悩みと新しい管理スキーム

“管理難民”増加中!高齢大家の悩みと新しい管理スキーム

かつては“安定収入の象徴”とされた賃貸経営。しかし今、その裏側で静かに増えているのが、「管理難民」と呼ばれる高齢大家たちです。物件を持っているが、年齢的・身体的な問題で適切に管理できず、トラブルが頻発したり、収益が悪化していたりする――。こうした現実が、今や全国で広がっています。

今回は、高齢化社会と不動産管理の現状、そして新しく登場する管理スキームについて解説していきます。

■ 「管理難民」とは?

「管理難民」とは、自身が所有する不動産の管理・運営を適切に行えなくなった賃貸オーナーのことを指します。特に、地方や郊外に複数の物件を保有してきた高齢者が中心です。

【管理難民が生まれる背景】

  • 高齢化(70〜80代のオーナーが急増)
  • 後継者不足(子世代が不動産に関心なし)
  • 管理会社との契約切れ・解約
  • 信頼できる管理業者が近隣に存在しない
  • 修繕や更新判断が難しい

不動産という「動産ではない資産」は、持っているだけで価値を保てるものではありません。維持管理が伴って初めて“資産”たりえるのです。

■ 増える問題事例

全国の賃貸物件で、管理不全による問題は深刻化しています。

【よくあるトラブル】

  • 入居者からの苦情対応が放置される
  • 建物の老朽化に気づかず放置(雨漏り・漏水・崩落事故)
  • 空室率が上がってもテコ入れできない
  • 適切な賃料改定や更新交渉がされない
  • 敷金清算・退去処理ミスによる訴訟

所有者が対応できないまま放置されることで、収益物件が“負債物件”に転じてしまうリスクが高まっています。

■ 高齢大家のリアルな悩み

多くの高齢オーナーが抱えるのは、こうした「管理業務の実務負担」と「信頼できる後継や業者の不在」です。

【声として多いもの】

  • 「管理会社が信用できず何度も変更して疲れた」
  • 「誰かに任せたいが、どこに頼めばいいかわからない」
  • 「息子に継がせる気はないと言われた」
  • 「設備更新費用の相談もできず一人で悩んでいる」

これは単なる不動産の話ではなく、高齢者の生活問題・資産管理問題の延長線上にある社会課題です。

■ 新しい「管理スキーム」とは?

こうした背景を受け、近年は従来の“管理会社任せ”ではない、新しい管理モデルが登場しています。

① 地域密着型の「包括管理サービス」

  • 空室対策、修繕手配、入居者対応、家賃管理などを一括代行
  • 高齢オーナー向けのライフサポート込みのプランも登場

② 「信託スキーム」による資産管理

  • 賃貸不動産を信託契約により専門法人に預ける
  • 収益は所有者に還元、管理・運営は専門家が代行

→ 高齢者の“認知症リスク”にも備えられる仕組みとして注目

③ サブリースを活用した“完全委託型”

  • オーナーは物件を貸し出すだけで、空室リスクも含めて業者が一括借り上げ
  • 手間はかからないが、利回りは低下しやすい

「手放さずに管理を任せたい」ニーズに合致

④ 「資産承継コンサル」との連携

  • 相続・贈与を含めた包括的な相談窓口
  • 不動産の処分 or 継承の方向性をプロと一緒に検討

■ 今後の不動産管理のあり方

高齢化社会が進む中で、今後の不動産管理は**「所有者本人に依存しない体制」**が求められます。

【未来に向けた3つの視点】

  1. 「管理のプロ」と「資産のプロ」を分けて考える→ 修繕や空室対策は管理会社、承継は士業やコンサルに。
  2. 「信頼できる第三者に早期に任せる」判断力→ いざというときでは遅い。“任せる”勇気も必要。
  3. 「家族との共有」を当たり前に→ 継がせる気がなくても、「今の状況」は家族に共有しておくべき。

■ まとめ:資産を守るには、まず“任せる力”を

不動産は持っているだけでは資産ではありません。運営し、守り、活かすことではじめて価値を生みます。

「自分で管理できない」と感じた時こそ、新しい管理スキームの出番です。任せるべき人に、正しく任せられる体制を整えること。それが、資産の延命と家族の安心につながります。

高齢オーナーの悩みが「孤独な闘い」にならないために。私たち業界側も、柔軟で多層的なサポートのあり方を今こそ問われているのです。

“管理難民”増加中!高齢大家の悩みと新しい管理スキーム