COLUMN2026.06.04

「金利が上がると不動産は下がる」は本当か

「金利が上がると不動産は下がる」は本当か

――単純化された常識と、実務で起きている現実――

「金利が上がると不動産価格は下がる」これは広く知られている“常識”です。

確かに金融理論の観点では、金利上昇は不動産価格に下押し圧力をかけるとされています。

しかし2026年時点の日本の状況を見ると、この関係は必ずしも単純ではないことが確認できます。

本稿では、結論を急がず、金利と不動産の関係を段階的に整理します。

1.前提:なぜ「金利上昇=価格下落」と言われるのか

まず、この考え方の根拠を整理します。

■ 理由①:借入コストの上昇

金利が上がると、住宅ローンや投資ローンの金利も上昇します。

👉 結果

■ 理由②:利回りとの関係

不動産は「利回り商品」としても評価されます。

金利が上昇すると、

👉 結果投資資金が流出する可能性

👉 この2点から「金利上昇=不動産価格下落」という理論が成り立ちます。

2.しかし日本では、この関係が崩れている

ここからが重要です。

■ 日本の金利状況(2026年)

日本銀行は2024年以降、政策金利の正常化を進めていますが、2026年時点でも依然として低水準にあります。

(出典:日本銀行「金融政策決定会合」)

■ 不動産価格の動き

一方で、不動産価格は上昇または高止まりしています。

(出典:国土交通省「不動産価格指数」)

👉 つまり「金利は上昇方向なのに、不動産は下がっていない」

3.なぜこの現象が起きるのか

理由は単一ではなく、複数の要因が重なっています。

① 金利水準がまだ低い

重要なのは「上がったかどうか」ではなく、👉 絶対水準です。

日本の場合

(出典:各国中央銀行・IMF)

👉 結果借入コストは上昇しても、依然として投資可能な水準

② 供給制約が強い

建築コストの上昇により、新築供給は制限されています。

(出典:国土交通省「建設工事費デフレーター」)

👉 結果

③ 海外資金の存在

前回のコラムでも触れた通り、日本の不動産市場には海外資金が流入しています。

海外投資家にとって重要なのは👉 日本の金利ではなく、為替と相対利回り

👉 結果国内金利上昇の影響を受けにくい層が存在

④ インフレとの関係

インフレ環境では

(出典:総務省CPI、日本銀行資料)

👉 結果金利上昇と同時に、不動産需要が維持される場合がある

4.本質:金利は「一要素」に過ぎない

ここまでを整理すると重要な事実が見えます。

👉 不動産価格は金利“だけ”で決まるものではない

実際には

など、複数の要因で決まります。

5.では、金利は無視してよいのか

答えは明確です。

👉 無視はできないが、単独で判断すべきではない

特に重要なのは👉 「どのレベルまで上がるか」

■ 影響が大きくなる水準

👉 ここを超えると価格への影響が顕在化しやすい

6.実務上の判断ポイント

2026年時点で見るべきポイントは以下です。

7.よくある誤解

■ 誤解①:金利が上がったらすぐ下がる

→ ❌ タイムラグがある

■ 誤解②:すべての物件が影響を受ける

→ ❌ 影響は物件ごとに異なる

■ 誤解③:金利がすべてを決める

→ ❌ あくまで一要素

まとめ

「金利が上がると不動産は下がる」この考え方は、完全な誤りではありません。

しかし現実はもっと複雑です。

2026年時点の日本では

これらが重なり、👉 単純な価格下落にはつながっていません

重要なのは👉 「金利を見ること」ではなく👉 金利を含めた全体構造を理解すること

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